成年後見制度とは、そもそもどのような制度なのでしょうか。私たちは、自由で公正な契約社会に暮らしています。契約は十分な判断能力を備え、個々の契約を締結することの意味内容を理解した上で、適切な意思決定ができないと有効に成立させることが出来ません。しかし認知症を患う高齢者や、生まれながらにして障がいを持つ人々の中には、判断能力が不十分なために、このような適切な意思決定を自ら行うことには困難を伴う人々も少なくなく、社会的に弱い立場に置かれがちになります。

　そこで、こうした弱い立場に置かれがちな人々が、契約社会にあって、健常な人々と共に暮らし、共に生きていくためには、契約等の法律行為(意思表示により法律上の効果が発生・変更・消滅する行為)に対する支援が必要となるわけです。この法的な支援を、公的な監督という良質な安全装置付きで実現するための制度が成年後見制度なのです。

又、成年後見制度には任意後見と法定後見の２種類があり、法定後見には補助・補佐・成年後見の３類型が用意されています。